
Title
Webサイトリニューアルでオンライン予約97%まで導いたDX成功事例
Date
2024.10.24
Client
Fukuoka Growth Next
対応領域
DX推進・改善
Web戦略・制作
KGI,KPI
継続利用率向上
顧客ロイヤリティ向上
グローバル創業・雇用創出特区である福岡市で、自治体と民間企業の連携により生まれた Fukuoka Growth Next(以下、FGN)。創業やその後の企業成長を支援しており、130社以上のスタートアップ企業がFGNに入居中で、また卒業後も多くの企業が日本・世界で各サービスを展開し活躍しています。
2024年春、FGNが3期目を迎えるにあたり、FGNそしてSTARTUP CAFE*(以下、スタカフェ)のウェブサイトをリニューアルしました。2020年に一度、FGNのサイトをgazがデザイン/実装しており、今回はデザイン・制作の前段階から参画し、改善内容のご提案・実行まで担当させていただきました。
どのように相談対応業務の効率性を向上させたのか、また複数人でWeb運用を行う中で、全員が統一感を持って取り組むための工夫をどのように取り入れたか。
今回は改善方法とその結果をFGN事務局員香月様、池園様と共に、本プロジェクトを担当したデザイナーの海江田亮と佐野木雄大が、新しくなったFGNで振り返りました。
「Fukuoka Growth Next」の制作と成果
体制変更を機にDXの一環としてサイトをリニューアル
予約の97%はオンラインで完結
組織全体のITリテラシー向上に寄与
コストを下げることでROIが上昇
プロフィール

香月 啓佑氏|Fukuoka Growth Next運営委員会事務局
1983年福岡県北九州市生まれ。さくらインターネット株式会社 社長室 イノベーション共創グループ リーダー。2020年6月から福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」の運営を通じてスタートアップ支援に関わる。

池園 友梨氏|Fukuoka Growth Next運営委員会事務局
新卒でGMOペパボに入社。レンタルサーバーのカスタマーサポートを経験後、社長室に異動しFukuoka Growth Nextを担当。FGNでは、エンジニアイベントや学生向けイベント、創業初期向けのインキュベーションプログラムなどを担当。最近ではFGN事務局内の業務効率化やDX化も推進。
WebサイトリニューアルはDX推進の一貫

佐野木:今回もgazにご依頼をいただいたのは、何が決め手だったのでしょうか?
香月さん:gazは創業期にFGNをオフィスとして選んでくださっていたこともあったし、オフィス移転後も日頃からニュースリリースなどでgazの発信を見ていたので、「gazさんなら単なるWebサイト制作でなく、DXの観点からさまざまなご提案をいただけるのでは」という期待感があったんですよね。
私たちは今回のプロジェクトを、単なるWebサイトのリニューアルではなく、FGNのDXの一環だととらえています。そのなかで私たちはFGNのWebサイトを「FGNのサービスと利用者のインターフェース」と位置づけているので、DXの観点から、解像度高く相談に乗ってくれる会社にお願いしたくて。吉岡代表が福岡市DXデザイナーをされていることも大きかったですね。
佐野木:ありがとうございます。キックオフミーティングで香月さんから伺った「WebサイトはDX推進の一環」というお話はとても印象的でした。僕たちも普段から、入居企業さんのアプリやSaaSのUI設計を通してDXに関わっているので、ご依頼内容をお聞きした時実はとてもワクワクしていたんです。

佐野木:今回は海江田さんがスタカフェ、僕がFGNをメインに担当させていただきました。最初に海江田さんがスタカフェのサイトを設計する際に、特に意識したことはありますか?
海江田:香月さんが最初からおっしゃっていた「なるべくシンプルにしたい」という思いを反映することです。シンプルで使いやすいデザインになるよう、実際に利用するスタートアップの方たちの視線に立って、自分が使っているつもりで設計していきました。
香月さん:今回のプロジェクトでのチャレンジは、スタートアップ支援施設としてのFGNに加えて、福岡で起業に挑戦される皆さまを広くサポートするスタカフェの2つの機能を統合することでした。
スタカフェは福岡で起業に挑戦される皆様へ向けて、起業相談など具体的なサポートの機会と場所を提供しています。スタカフェは利用者の層が広くて、中学生から70~80代の方までいるんです。だからIT慣れをした人だけを想定してしまうと、伝わらない方も出てきます。スタカフェもFGNも、そこをしっかりクリアしたWebサイトを作っていただけて、本当に良かったと思っています。
海江田:FGNのサイトはどうでしたか?

佐野木:僕がDXと同時に心がけたのは、香月さんの「FGNはスタートアップを支える箱。主役はあくまでスタートアップの方々で、彼らが入ることで映える箱のようなWebサイトにしてほしい」と言う思想です。
海江田さんも僕も、その言葉は常に頭に置いていました。だからお互いにレビューし合うときは「箱」にふさわしい設計なのかというところを相当意識していましたね。
香月さん:ありがとうございます。FGNはたくさんのスタートアップの方を主役にお迎えして、サポートしていくことが使命ですから。おふたりには、いちばん大事な部分を理解していただけたと感じています。
応対者と訪問者、お互いにとって心地よいUI/UXを設計

佐野木:今回は相談対応業務の効率化のため、ツール選定はだいぶ時間をかけて議論しました。ツールのリサーチは、海江田さんが実際にアカウントを作りながらやっていましたが、この点はいかがでしたか?
海江田:そうですね、スタカフェの予約システムのツール選定は大変でした(笑) ユーザーヒアリングの実施はもちろん、実際にそのツールに触れてみないといまひとつ利用者の視点には立ちきれなくて。そのために、いろいろなツールを実際に触って試しました。
池園さん:スタカフェには起業相談やサポート支援など、いろいろな窓口があるので、一度に複数の予約を取りたい方もいます。だからこそ、見る人が「空き状況をチェックして、ポチっとしたら後は必要事項を見るだけ」という簡単なUI/UXが理想的でした。窓口が1つじゃないって、結構大変なことですからね。

池園さん:以前のスタートアップカフェでは、相談受付はWebフォームと電話で受け付けていたそうです。フォーム入力は一方通行なので、相談者は申し込んだ時点で希望は出せても、予約を確定することは不可能でした。
一方スタカフェ側は、フォームで集まった希望とカレンダーを人の目で見比べて、予約を割り振っていたんです。そして手動でカレンダーに登録したら、希望者全員にメールで日程を連絡。多いときには、1日の大部分を電話とメールに取られるくらい、負荷が大きかったと聞いています。
いまはフォームからカレンダーへ自動で登録されるので、人の手が関わる部分はほとんどありません。業務負担は格段に楽になったと思います。
サイト運用の民主化を成功させたノーコードツール

佐野木:今は(情報更新・ページ追加などの)サイト更新やスタカフェの相談業務などを含めて、どなたが管理や見直しを担当しているんですか?
香月さん:「ここをこうしてほしい」という話は、僕と池園さんのところに来ます。でもすぐに僕たちが対応するのではなく、まずは「自分でできませんか」と訊くようにしているんです。できることは自分で対応してもらって、難しそうなら僕と池園さんで検討します。そして僕たちでは時間がかかったりわからないこともありますから、その際はgazさんにお願いしているのが現状です。
佐野木:Web担当者1、2名というケースが多いなか、FGNさんはいろいろな方が関わっていますよね。
gazはWeb制作に対して「発信したい情報を持っているクライアントさんが、ご自身で直接発信するのがベター」というスタンスがあります。そのほうが認識違いも防げるし、対応にかかる時間的なコストも短縮できますから。その観点からWeb制作ツールはノーコードの「STUDIO」を導入しているところもあるんです。
FGNさんはその上を行っていますよね。Web担当者が1人でやるのではなく、いろんな方が当たり前にWebを更新している。これはとても理想的なケースだと思います。

香月さん:専門知識のあるWeb担当者を置けるなら、「STUDIO」じゃなくてもいいと思うんですよね。Webサイトの運用作業が記事の更新だけなら、WordPressなどのCMSを活用することも有力な選択肢でしょう。コードが書ければ自由度が高いし、こだわりも実装できるし。プラグインもたくさんあるし。僕自身WordPress大好きです(笑)。
ただ、FGNでは「全員がWeb担当者」という環境を目指しています。FGNではプロジェクトの担当者自身がランディングページの作成や画像の差し替えなどの作業ができないと業務が回らないからです。そしてそういうケースには人材育成コストが低い「STUDIO」はいいなと思っています。STUDIOのようなノーコードツールを選ぶ制作会社が増えてきた背景には、Webサイトに求められる機能が増え、さらに状況に合わせてリアルタイムに構成を変えていく必要性が増す中、専門知識があるWeb担当者以外もウェブサイトを柔軟に管理・運営できる体制を求める企業が増えたからでしょうね。
佐野木:今までご依頼いただいていた更新作業をなるべくFGNさんでやっていくというのは、今回私たちがSTUDIOでサイト構築する際にもこだわったことなんです。デザインをどうしたら崩さず、かつ自由度を上げられるのかというところですね。
海江田:そうですね。今回はビジュアルや情報設計だけでなく、非デザイナーの方がサイトを更新できることも重要だと考え、また非デザイナーの方でも自由度高くWebサイトを組み立てられるよう意識して作っていきました。
数字が示す効果:97%がオンライン予約に。

香月さん:現在は自動化がしっかり回っていて、スタートアップカフェの相談予約の97%はオンラインで完結しています。
Web予約システムがないところから始めて、半年で97%にまで達したというのは本当にすごい数字だと思っていて。その分、みんなが本来の相談業務に注力できるわけですから。
池園さん:電話はほとんど来ないです。それは大きな変化ですね。
もし電話でお問い合わせが来ても、Webサイトが分かりやすいので「そちらから予約するほうが良いですよ」と誘導が可能なんです。その先できちんと予約が来ますし、Webサイトでは分からないと言われることもないので、ここは大きな成果が出ていると思います。
香月さん:最初は電話が多いだろうと想像していたので、IVRによる自動音声応答を入れようとしていたんです。でも結果的には必要なかったですね。最近はお問い合わせ対応の会話型AIチャットもついたし、ほとんどWebサイト内で完結します。電話のほうが時間と手間がかかるでしょうね。
今は相談の申し込みを受けてから、相談内容を相談対応を行うコンシェルジュに見せるところまで、人による作業が介在していません。
池園さん:今までやっていた転記は属人的なことなので、それが外れたのは大きいですよね。人が介在する作業がなくなった分、必要な部署に必要な人員を置くことができるメリットもたいへん感じています。
組織全体のITリテラシー向上に寄与したDXプロジェクト

香月さん:今はFGNのスタッフから「Webサイトやツールのここを変えたらもっとうまくできるんじゃないか」「ここの業務フローはもっとツールでうまくできるんじゃないか」と普段から話が出るようになりました。どこをDXしようとか、フォームを自動化をしようというレベルを大きく超えていますから、これは本当にいいなと思っています。
池園さん:以前だったら1人が「自分でやっちゃう方が早い」と手作業で終わらせていたことも、今はみんなが使いやすくとか、全体でスムーズに仕事が流れることを意識した意見が出るようになりました。
佐野木:確かに属人化していたら、そんな意見が上がることもないですよね。
香月さん:さっき、僕たちにこうしたいと言ってきた人に「自分でできませんか?」と返す話をしましたよね。これができること自体、すごく良いことじゃないかと思っています。
池園さん:事務担当者のITリテラシーはものすごく向上しました。
香月さん:あるメンバーはGoogle AppScriptを勉強してますからね。テーブルの上に僕が昔買った本が置いてあって「これを自動化したいんです」って。私にもできるかもしれないと思ってくれた時点で、プロジェクト大成功じゃないですか。
佐野木:普通は、Webサイトのことは担当者に訊こうと思いますからね。
香月さん:通常はそうです。でもFGNのWebサイトは2期のときからSTUDIOで、今回の3期も同じSTUDIOで。使用するツールでマインドがここまで変わったわけですから、DXとして大成功です。
海江田:組織文化の変革もDXにおいて重要なので、そう言っていただけてとても嬉しいです。
効果を出すために利益を上げなくても良い

佐野木:最後に、公開後の関係者からの反響をお伺いできればと思います。
池園さん:定性的な意見として「スタートアップカフェのサイトが分かりやすくなったね」とは本当によく言われます。相談に来た方から「前のサイトよりわかりやすくて、すぐ予約できました」と褒められるとか。1人じゃなく何人にも言われました。
香月さん:分かりやすいところでは、「よくある質問」のお問い合わせの数が減りましたね。これはすごく良い流れで、Webサイトに掲載している情報がちゃんと届いているということだと思います。
佐野木:今回のリニューアルは、ROIのReturn(利益)の方を上げるよりInvest(投資)のほう、つまりかかっていたコストを下げるほうが主目的でした。だからCVが一定でもコストが下がっていれば、ROIとしては上がっているということですね。
海江田:いい結果が聞けて安心しました。お二人とも、本日はありがとうございました。
デザイナー紹介(順不同)

株式会社gaz UIデザイナー
海江田 亮 / Ryo Kaieda
1998年、福岡県北九州市生まれ。 千葉工業大学在学中にUXデザインとの出会いをきっかけにデザイナー就活を開始。在学中にインターンとしてgazにジョイン。2022年春、新卒入社後もUIデザイナーとしてクライアントワークを行う。 現在はUI事業部で、各企業の"1人目のデザイナー"として様々なプロダクト開発をデザインで支援している。

株式会社gaz UIデザイナー
佐野木雄大 / Takehiro Sanoki
2002年、福岡県生まれ。 九州大学経済学部4年。大学2年次からgazでインターンをはじめ、2023年4月より正社員(短時間)として入社。UIデザイナーとしてクライアントワークを行う傍ら、経理財務やマネジメントなど幅広く経営に携わっている。
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